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宮崎 牧人

  • Co-PI
京都大学 大学院理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻; 理化学研究所 生命機能科学研究センター
特定准教授; チームリーダー
Research Areas
生物物理学、構成的細胞生物学
Keywords
人工細胞、細胞骨格、自己組織化、構成的アプローチ

研究概要

生命の最小単位である細胞は、分子から秩序構造を自己組織化する動的システムと捉えることが出来ます。例えば動物細胞は、Rhoなどのシグナル分子の濃度分布が作る前後極性や、細胞骨格タンパク質による収縮ネットワークなどの時空間パターン構造を作っては壊すことで細胞の形を変え、細胞運動や分裂などの機能を生み出しています。即ち、分子が適切なタイミングと場所で集合・離散しながら、次から次へと高次の動的秩序を生み出す現象こそが、すべての生物に共通する普遍的な特徴であり、生命の本質と言えます。ここで個々のタンパク質分子の視点に立って細胞内の世界を想像すると、細胞スケールの秩序が自己組織化する現象は自明ではないことに気付きます。なぜなら分子は、近接する者同士の物理的接触を通じてしか“コミュニケーション”が取れません。それにも関わらず、分子は何らかの方法を駆使して広大な細胞内空間を認識し、適時適所で、しかもほとんどミスすることなく、自身の数百倍以上もある巨大な秩序構造を組み上げ、さまざまな細胞機能を生み出しているのです。その仕組みとは一体どのようなものなのでしょうか?私たちは、この謎に迫ることで、分子という物質的基盤の上に「生命」が成立している仕組みが見えてくるに違いないと考えています。
 私たちの研究室では、生きている細胞を一旦バラバラに壊し、パーツを組み合わせることで、細胞で見られる動的高次構造や生命機能が再現される条件を探る、という構成的アプローチでこの謎に迫っています。私たちは、精製タンパク質や細胞質抽出液を細胞サイズのカプセルに封入する技術を開発し、これらの人工細胞を用いて、主に細胞骨格や細胞骨格が司る細胞機能が発現するメカニズムの解明を進めてきました。本プロジェクトでは、私たちがこれまでに開発してきた人工細胞を発生生物学の研究に応用し、初期胚や上皮組織などの細胞集団の内部で作用している力を測定できるプローブを開発します。さまざまなモデル生物を扱っている発生生物学者と共同研究を進めることで、個々の細胞が如何にして力を介したコミュニケーションを利用し、正確な胚発生プロセスを達成できているのか、その仕組みに迫ります。

経歴

修士課程は早稲田大学物理学科の木下一彦教授の研究室にて、分子モーターの歩行メカニズムに関する実験的研究を推進。修士課程終了後は京都大学大学院理学研究科博士課程に進学。吉川研一教授の研究室にて分子モーターの歩行メカニズムに関する理論的研究を行い、1分子実験で得られた時系列データの新しい解析手法を提案。2011年3月に博士号を取得後、ポスドクとして早稲田大学物理学科の石渡信一教授の研究室に在籍し、細胞骨格の再構成系を用いた研究を開始。同学科助教を経て、2017年10月に京都大学白眉センター特定准教授に着任。1分子・超分子集合体・生細胞の各階層の実験と理論を融合し、細胞骨格が司る細胞機能発現メカニズムの解明を目指した研究室を立ち上げる。2022年10月より同大学大学院理学研究科特定准教授。JSTさきがけ研究者を兼任。

関連業績

  • Geometric trade-off between contractile force and viscous drag determines the actomyosin-based motility of a cell-sized droplet
    Ryota Sakamoto, Ziane Izri, Yuta Shimamoto, Makito Miyazaki, Yusuke T Maeda
    PNAS 119, e2121147119 (2022)
    DOI: https://doi.org/10.1073/pnas.2121147119
  • Tug-of-war between actomyosin-driven antagonistic forces determines the positioning symmetry in cell-sized confinement
    Ryota Sakamoto, Masatoshi Tanabe (co-first), Tetsuya Hiraiwa, Kazuya Suzuki, Shin’ichi Ishiwata, Yusuke T Maeda, Makito Miyazaki*
    Nature Communications 11, 3063 (2020)
    DOI: https://doi.org/10.1038/s41467-020-16677-9
  • Spatial confinement of active microtubule networks induces large-scale rotational cytoplasmic flow
    Kazuya Suzuki, Makito Miyazaki, Jun Takagi, Takeshi Itabashi, Shin’ichi Ishiwata
    PNAS 114, 2922–2927 (2017)
    DOI: https://doi.org/10.1073/pnas.1616001114
  • Cell-sized spherical confinement induces the spontaneous formation of contractile actomyosin rings in vitro
    Makito Miyazaki, Masataka Chiba, Hiroki Eguchi, Takashi Ohki, Shin’ichi Ishiwata*
    Nature Cell Biology 17, 480–489 (2015).
    DOI: https://doi.org/10.1038/ncb3142
  • Quantitative analysis of the lamellarity of giant liposomes prepared by the inverted emulsion method
    Masataka Chiba, Makito Miyazaki (co-first), Shin’ichi Ishiwata*
    Biophysical Journal 107, 346–354 (2014).
    DOI: https://doi.org/10.1016/j.bpj.2014.05.039