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佐藤 純

  • Co-PI
金沢大学 新学術創成研究機構
教授
Research Areas
神経発生学、数理生物学
Keywords
タイルパターン、ショウジョウバエ、複眼

研究概要

ショウジョウバエの視覚系をモデルとして、個々の細胞が発生する力と組織から受ける力の相互作用によって機能的なパターンが形成する仕組みを明らかにしたいと考えています。
同じ形が隙間無く配置されたタイルパターンは昆虫の複眼、脳のカラム構造、肝臓の肝小葉などにおいて見られますが、どれも基本的に6角形パターンを示します。これは6角形が力学的に安定であることに起因すると考えられます。実際、ショウジョウバエの複眼を構成する個眼も力学的に安定な6角形パターンを示しますが、ある種の変異体では4角形パターンへと変化します。
これまでの研究から、背腹軸方向の細胞膜張力と個眼を構成する細胞の放射方向の成長圧力という2つの力の組み合わせによって6角形および4角形パターンが制御されることを明らかにしました(Hayashi et al., Current Biology 2022)。個眼を構成する色素細胞は発生の過程で急速に成長し、周囲の細胞を押しのけます。この時の成長圧力がタイルパターン形成において重要な役割を果たすと考えられますが、この成長圧力を産み出す物理実体は分かっていませんでした。
本研究では細胞の成長圧力の実体を解明し、細胞膜張力と成長圧力の相互作用によって細胞形態の恒常性が維持される機構、および組織内の力の伝播機構を解明したいと考えています。

経歴

東京大学理学部生物化学科卒業後、東京大学大学院 理学系研究科 生物化学専攻にて博士号取得(2000年)、日本学術振興会特別研究員、カリフォルニア大学サンフランシスコ校 博士研究員を経て東京大学 分子細胞生物学研究所 形態形成研究分野 助教(2002年)。金沢大学フロンティアサイエンス機構 テニュアトラック特任准教授として独立(2008年)、さきがけ研究代表者、金沢大学 脳・肝インターフェースメディシン研究センターおよび金沢大学大学院 医学系研究科 脳医科学専攻 神経発生学研究分野 教授(2012年)を経て金沢大学 新学術創成研究機構 数理神経科学ユニット 教授(2014年)。文部科学大臣表彰 若手科学者賞 受賞(2012年)。

関連業績

  • Tiling mechanisms of the Drosophila compound eye through geometrical tessellation.
    Hayashi, T., Tomomizu, T., Sushida, T., Akiyama, M., Ei, S., and Sato, M.
    Current Biology 32, 2101-2109 (2022).
    DOI: https://doi.org/10.1016/j.cub.2022.03.046
  • DWnt4 and DWnt10 regulate morphogenesis and arrangement of the columnar structures through Fz2/PCP signaling in the Drosophila brain.
    Han, X., Wang, M., Liu, C., Trush, O., Takayama, R., Akiyama, T., Naito, T., Tomomizu, T., Imamura, K. and Sato. M.
    Cell Reports 33, 108305 (2020).
    DOI: https://doi.org/10.1016/j.celrep.2020.108305
  • N-cadherin orchestrates self-organization of neurons within a columnar unit in the Drosophila medulla.
    Trush, O., Liu, C., Han, X., Nakai, Y., Takayama, R., Murakawa, H., Carrillo, J. A., Takechi, H., Hakeda-Suzuki, S., Suzuki T. and Sato, M.
    Journal of Neuroscience 39, 5861-5880 (2019).
    DOI: https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.3107-18.2019